時計の世界三大複雑機構とは？搭載モデルについて

2020.12.28更新 9868 Views

世界三大〇〇というランキングをよく目にしますが、時計界にも世界三大複雑機構というものがある事をご存知でしょうか。時計を作るための技術の中でも、複雑で高度な技術が必要とされる機構が3つあります。高度で複雑な機構を搭載するためには技術力も必要不可欠なので、搭載しているモデルもそう多くはありません。希少であり、価値も相当なものになりますが、複雑で小さな機構が裏蓋の中で精密に動いている事を想像するとロマンを感じます・・・。まずは世界三大複雑機構の種類と、それら全ての複雑機構を搭載しているブランドの紹介もしていきます。

世界三大複雑機構とは何か？

世界三大複雑機構とは、その複雑さから時計の価値、ステータス、時計選びなどの指標ともなる3つの機構を指した言葉です。 3つの機構の名前は「トゥールビヨン」、「ミニッツリピーター」、「パーペチュアルカレンダー（永久カレンダー）」です。豆知識ですが、この複雑な機構3つ全て発明したのはブレゲの創立者、【アブラアム・ルイ・ブレゲ】です。詳しい内容はコチラの記事をご参考ください。

出典元：Patek Philippe どのような働きの機構なのか、一つずつ解説していきます。

①トゥールビヨン

フランス語で「渦」意味を持つトゥールビヨンは、重力の影響を分散させ、姿勢差によるズレをなくす機構です。トゥールビヨンが発明された当時の時代は、まだ腕時計が登場する前であり、携帯して持ち歩く時計というと懐中時計が主流でした。懐中時計はポケットに入れておくものですので同じ姿勢が続き、重力の影響を一定の方向に受け続けてしまいます。そこで発明されたのがトゥールビヨン。がんぎ車・アンクル・テンプを丸ごとグルグルと回転させることで重力を受ける方向を均一化させています。

出典元：ブレゲ一時期、1960年代末からのクォーツ革命で衰退したものの、ブレゲがトゥールビヨンを腕時計で復活させて以降、「見せるため」の高級機構として復権を果たし、今日までの高級時計の証としても用いられています。

②ミニッツリピーター

ミニッツリピーターとは、ボタン又はレバーを操作して現在時刻を鐘の音で知らせる機構です。ミニッツ・リピーターは1分単位で時刻を知らせますが、15分単位（クオーター・リピーター）、5分単位（ファイブミニッツ・リピーター）などもあります。暗闇でも時刻が把握できるようにと、1676年にイギリスのエドワード・バーロウによって発明され、当初は置時計などに使用されていましたが、置時計よりも小さな懐中時計への小型化しての搭載は困難を極めました。ですが107年後の1783年。アブラアム＝ルイ・ブレゲが懐中時計のムーブメントの外周にリピーターを配置することによってはじめて小型化に成功しました。小型化に100年以上もかかったミニッツ・リピーターは、腕時計への内蔵は特に超絶技巧であり、ごく一部のきわめて高度な技術を有する時計職人にしか製作・メンテナンスすることができないそうです。