1869 Views
プロスポーツ選手を中心に若年層に絶大な人気を誇るのが「ウブロ」です。
高級時計では異例のラバーベルトの採用で脚光を浴び、巧みな広告戦略で瞬く間にトップブランドに上り詰めました。
そんなウブロの魅力を歴史を振り返りながら、解説していきます。
ウブロの歴史
ウブロ=船の窓!?
まず、「ウブロ(HUBLOT)」という会社名はフランス語の「舷窓(げんそう)」からきているとされています。 特徴的なベゼルとビスは舷窓のデザインをモチーフにしており、今なおブランドのアイコン的なデザインとして残っています。スイスデビューは大バッシングの嵐
時計メーカーにしては歴史が浅く創立は1979年です。イタリア屈指の時計・宝飾グループ一族をバックボーンに持つカルロ・クロッコにより創立しました。 1980年、金やステンレス素材のケースにラバーベルトを組み合わせたクォーツ式腕時計「クラシック」をバーゼルワールドに発表した事で時計界にデビューします。 革新的なデザインのクラシックは人気を集め、クォーツショックで瀕死の状態にあったスイス時計業界を救出したと言われていますが、伝統を重んじるスイスではタブー視されていたラバーベルトを使用した事で大バッシングを浴びます。ファッション業界の思わぬ反応
スイスでは大バッシングを浴びたため、ビジネス相手を故郷イタリアのファッション業界に移します。 革新性を求めるイタリアファッション業界と斬新なデザインのウブロは相性がよく、カルロ・クロッコ氏の営業努力も相まって好意的に受け入れられていきます。 アルマーニやその他有名メーカーが広告などで使用し、瞬く間に話題のブランドとなった事をきっかけにヨーロッパから世界へと着実に評価を獲得していきました。腕時計界の巨星がCEOに就任―ビックバンの誕生
好調に見えたウブロですが、機械式時計を避けクォーツ式を中心に扱っていた点やラバーベルトのラインナップの少なさから一時経営難に陥ります。 愛好家にとって「高級時計=自動巻き」との認識は根強く、ブランド再建の為、自動巻き時計の開発に着手します。 2004年、それまでの状況を打破する為、オーデマピゲを始め数々の時計メーカーで辣腕を振るってきた腕時計界の巨星「ジャン=クロード・ビバー」氏がCEOに就任。 翌2005年、ブランドコンセプトに「アートオブフュージョン(異なる素材やアイデアの融合)」を掲げ、ウブロ初の機械式時計「ビックバン」を発表します。 スイス伝統の時計作りとウブロの先進的なデザインが融合したビックバンは同年ベストデザインオブザイヤーを受賞。大々的な宣伝、アンバサダー戦略によりミュージシャンやプロスポーツ選手に愛用者が増えていき、若者を中心に「成功者が身に着ける時計」としての確かな地位を確立していきました。 2010年、自社製ムーブメント「UNICO(ウニコ)」を開発するなど、近年ではデザイン面だけでなく、性能や素材の面でも高い技術を誇っています。他業界との関わり
ウブロのブランドコンセプト「アートオブフュージョン(異なる素材やアイデアの融合)」は様々な分野のプロフェッショナル達とのコラボレーションによって、革新的な時計を生み出す事を目的としています。 サッカーやモータースポーツを中心にスポーツ界への支援がよく目立つのはマーケティング戦略からで、実際にはアートやミュージックの分野でも様々なパートナーシップを交わしています。 それまで腕時計には扱われてこなかった素材を大胆に使用するチャレンジングなデザインは常に挑戦を続ける彼らの姿勢とブランドの方向を重ね合わせているのかもしれません。 スポーツ界の主なスポンサー支援としては 2010年にはフェラーリの「公式ウォッチ」、「公式タイムキーパー」、 2014年にはFIFAワールドカップの「公式ウォッチ」、「公式タイムキーパー」を務めました。 参考モデル:ビック・バン フェラーリ 1000GP(Ref:402.QC.0112.NR) 出典元:ウブロ公式サイト主要モデル
ビックバン
ウブロの象徴ともいえるようなモデル。舷窓をイメージしたベゼルとH型のビスという基本デザインに複数の素材を組み合わせる方法で全く印象の違うコレクションを毎回展開している。「融合(フュージョン)」というコンセプトの元、それまで腕時計には採用されなかった異素材を積極的に取り入れている。その革新的なデザインは時計業界随一との呼び声高く、特にファッション関係者からの評判が良い。他業界とコラボレーションした限定モデルを豊富にラインナップしている。 素材にはセラミック、チタン、カーボンファイバーなどを自社で独自開発し使用している。また、マジックゴールドと呼ばれるような複合素材の開発も力を入れている。 参考モデル:ビッグ・バン インテグラル キングゴールド(Ref:451.OX.1180.OX) 出典元:ウブロ公式サイトクラシックオブフュージョン
ビックバンと双璧をなすウブロの人気モデル。ウブロ最初の腕時計「クラシック」のデザインを踏襲し、新たな素材との融合を行うというのがコンセプト。 ビックバンとは真逆の印象を与える程、シンプルで薄く軽いモデルである。落ち着いたデザインはビジネスユースにも耐えうることから、ラインナップ中では最も使い勝手の良いモデルである。 複雑機構のビックバンに比べてシンプルなデザインのクラシック・フュージョンは素材感を楽しむのに適したモデルと評されている。 波及モデルとして、スケルトンダイヤルを搭載した「アエロ・フュージョン」などを展開。 参考モデル:クラシックフュージョン チタニウム(Ref:511.NX.1171.RX) 出典元:ウブロ公式サイトキングパワー
ケース幅48mmのインパクトの大きい躍動的なデザインが特徴的なモデル。太めでゴツイデザインはウブロのラインナップ中最も存在感のあるモデルと言える。 ダイバーズモデルの「オーシャノグラフィック」に至ってはエスケープバルブに厚み6.5mmのサファイアガラスを備え、防水性能は1000m~4000mと他メーカーと比較しても最強クラスの性能を誇る。スピリットオブビックバン
ビックバンのテイストをそのままに「トノー型」に仕上げたモデル。ムーブメントにはゼニス社の名機「エルプリメロ」が搭載されている。 スケルトンダイヤルを搭載しており、美しいムーブメントの動きを視認することが出来る。 参考モデル:スピリット オブ ビッグバン ムーンフェイズ キングゴールド ダイヤモンド(Ref:647.OE.2080.RW.1604) 出典元:ウブロ公式サイトウブロの主なできごと
1979年 | ニヨンでイタリア人であるカルロ・クロッコにより創立。 |
---|---|
1980年 | 従来はなかった金のケースとラバーベルトとを組み合わせた腕時計でバーゼルデビュー。 |
2004年 | ブランパン再建を手掛けたジャン=クロード・ビバーがCEOに就任し、翌2005年から『フュージョン(融合)』のコンセプトの元、異なる素材を組み合わせた「ビッグ・バン」シリーズを発表。 |
2008年 | クロッコはチャリティー活動に専念するためにLVMHに会社を売却。 |
2010年 | 自社製ムーブメントUNICOを開発。 |
2011年 | フェラーリと提携しコラボレーションモデルを発表、また2012年までF1やFIFAワールドカップ、UEFA EUROの公式タイムキーパーも担当。 |
2012年 | ビバーは会長に就任し、リカルド・グアダルーペがCEOに就任して現在に至る。 |